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​音の焦点

オーディオをやる際に、避けて通れないのが、『音の焦点』の問題です。音の焦点とは、ある程度はフラットな特性を持つ機材につきまとう、音のシャープさ、マイルドさの加減のことです。

 

音の焦点が合った状態というのは、音、そして音楽が、非常に生々しく聞こえます。音の焦点が合っていない状態では、あまり生々しく聞こえません。それはちょうど、一眼レフで写真を撮る時に、ファインダーを覗き込んで、ピントを合わせないと、写真がピンボケになることに似ています。そういう理由で、音の焦点が重要です。

 

音の焦点は、スピーカーケーブルの長さと太さで調整します。原理的には、以下のようにして調節できます:

 

[1] ベルデンや WE などのメッキ線材でできたスピーカーケーブルの場合は、音をシャープにする効果があります。具体的には、スピーカーケーブルを長くすると音はシャープになり、短くすると音はマイルドになります。太くすると音はマイルドになり、細くすると音はシャープになります。

 

[2] AE 線や VVF などの銅の非メッキ単線をスピーカーケーブルとして使う場合は、音をマイルドにする効果があります。具体的には、スピーカーケーブルを長くすると音はマイルドになり、短くすると音はシャープになります。太くすると音はマイルドになり、細くすると音はシャープになります。

 

調整の仕方は、原理的には以上ですが、音の焦点を合わせる際には、地声に近いボーカルを基準にあわせてください。楽器の音ではいけません。ボーカル、つまり人間の声は、人間の耳に、最も良く、自然に馴染むものですから、そのシャープさ、マイルドさの加減は、非常によくわかります。

 

特に、一般的なご家庭での通常 100V 環境の場合、WE やベルデンのメッキより線のスピーカーケーブルは、18GA という太さで、2m 前後で音の焦点が合います。16GA という太さで、3~4m の長さで音の焦点が合います。

 

こういう事情がありますので、スピーカーケーブルの太さの選択は、アンプからスピーカーまでの距離によります。スピーカーケーブルを選ぶ際には、まず、アンプからスピーカーまでの距離を測り、たとえば、2m で結線できる場合は 18GA の太さを、3~4m で結線できる場合は 16GA の太さを選びます。

 

具体的には、アンプからスピーカーまでの距離が 2.6m くらいだとすると、ベルデンだと18GA の 2m では届きませんから、ベルデン16GA の 3~4m で結線します。そして、音の焦点の調整は、ボーカルを聴きながら、5cm とか 2cm とかの単位でスピーカーケーブルを切っていきます。これ以上切って大丈夫か?という、最後の勝負どころになると、1cm とか 5mm とかの単位で切ることになります。お客様によっては、1mm 単位で切る方もいらっしゃいます。

 

下記は、スピーカーケーブルの太さと音の焦点の合うおおまかな、適切な長さの一覧です (通常 100V 環境の場合) :

 

ウエスタンエレクトリック WE 22GA・・・片側 1m 前後

 

ウエスタンエレクトリック WE 18GA・・・片側 2m 前後

 

ウエスタンエレクトリック WE 16GA・・・片側 3m~4m程度

 

ウエスタンエレクトリック WE 14GA・・・片側 6~8m、又は 9m 程度

 

ウエスタンエレクトリック WE 12GA・・・片側 10~15m 程度

 

ウエスタンエレクトリック WE 10GA・・・片側 15~20m 程度

 

ウエスタンエレクトリック WE 8GA・・・片側 20~30m 程度

 

ベルデン 8460(18GA)・・・片側 2m 前後

 

ベルデン 8470(16GA)・・・片側 3~4m 程度

 

ベルデン 8473(14GA)・・・片側 5~7m 程度

 

ベルデン 8477(12GA)・・・片側 9~12m 程度

 

音の焦点は、機材や電源環境によって違いますから、お客さま各自で、お持ちの機材にあった、音の焦点を探り当ててください。それはちょうど、目の悪い人が、メガネを作る際に、その人にあった度をメガネ屋さんや眼科で調整するのと同じです。

 

また、音の焦点を精密に合わせるためには、当店やプロケーブル本店で販売している、ベルデンや WE などの正確なフラットの出るスピーカーでないと、非常に困難です。私どもでは、音の焦点を合わせられるスピーカーケーブルというコンセプトで、精緻なフラットの出るスピーカーケーブルを選び抜いておりますので、ご安心ください。

 

なお、AE 線で音が合うケースというのは、iPod だったり MacBook Pro だったり、音源が異常に濃い音の場合とか、当店で販売しているアイソレーション電源トランスをお使いで、電源が異常にクリアーになっている場合のみです。通常 100V 環境で CD プレーヤーをお使いの場合は、AE 線や VVF ではまず、音が合いません。もやもやの音になるだけですので、ご注意ください。

注意事項: プロケーブル製アイソレーショントランスを導入された方は、スピーカーケーブルは、多くの場合、AE 線でないと音が合いません。(クロスオーバーを導入されている方は例外)詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

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